|
ホワイトエッセンスデンタルクリニック
歯科医師 熊谷法子
皆さん、こんにちは。
近頃少しずつ涼しくなってきました。涼しくなってきたということは、いよいよ秋、食べ物が美味しい時期ですね。
さて、美味しいものが大好きな方は、旬を把握したり、美味しい店を調べたり何かしらの準備をされると思います。繊細な味を楽しむためには、食欲の秋に備えて少しでもおいしく食べられるようにお口のコンディションを高めておきたいものです。
しかし、実際には歯が痛くなっても我慢する方が多いようです。ある銀行で歯の治療の我慢についての調査を行ったところ、歯の治療を受けずに我慢する人は約4割、34歳以下の男性では52.5%と5割を越えるそうです。 理由の一位には「忙しくて通院できない」以下「診療時間帯が悪い」「痛くなければほおっておく」「治療の回数がかかる」「治療が嫌だ」が続きます。歯科医院側の問題もありますが、むし歯や歯周病は痛みが無かったり、治まった状態でも治っているわけではなく静かに進行しているのです。 |

歯周病の原因は細菌感染ですが、進行等で疲労の影響を受けやすい病気です。そして、痛みなく静かに進行します。歯周組織に疲労の影響が出て歯を抜かなければいけない状態を「過労歯」と呼び、企業を活動場所とする歯科医の間で実際に使われている用語です。治療が必要な状態では疲労に対する抵抗力も低くなり、病気はどんどん進行していきます。むし歯や歯周病がひどくなると、咬めなくなるだけではなく、血や膿が出ます。この状態で食事をとっても美味しいわけがありませんね。そして、味は舌の表面の味蕾(みらい)で感じますが、舌の上に白っぽい舌苔が溜まっていては、繊細な味を感じにくくなります。体力を消耗する夏が終わったこの時期、お口の中も夏バテしているはずです。悪いところが無い方も舌の清掃をしたり、歯のクリーニングなどでメンテナンスをしておけば、お口の状態は非常によくなるはずです。
残念ながら歯科の治療は薬を飲むだけでは治りませんので、回数も時間もかかりますし、多少の痛みを伴うことがあります。しかし、今から治療を始めれば、美味しいものが多くなる時期を良いコンディションで迎えられるはずです。この秋は、「過労歯」しそうな歯を救済して、“口福”を味わって見ませんか?
口腔衛生会誌 51:275-280,2001
公衆衛生 63:405-409,1999 |